更生保護について

安心・安全な社会を築くための大切な仕組み

更生保護とは、犯罪や非行を犯した人が罪を償った後、社会の一員とし再出発するのを導き・援助することでその立ち直りを助け、再び犯罪や非行に陥るのを防ぐことで、地域社会の安心と安全を守る仕組みのことです。

日本で日々発生する犯罪の内、実に約6割が再犯者によるものです。罪を犯してしまった人を再び犯罪者に戻さない工夫や努力をすれば、犯罪率はぐっと減り住みよい社会になります。「更生保護」は、私たち地域住民が安心で安全な生活を送るための大切な仕組みなのです。

立ち直りに必要なチカラ

では罪を犯してしまった人を再び犯罪者に戻さず、立ち直ってもらうにはどうすればよいのでしょうか。

再犯を繰り返す大きな理由が、仕事に就けない、住む家がない、地域社会が受け入れてくれないなどのいわゆる「居場所」がないという理由です。本人の努力と強い意志が大切なことはもちろんですが、彼らに「仕事」と「住む場所」、そして地域社会との絆を保てる「居場所」を作ってあげること、 “ここに居てもいいんだ!” という安心感や “人の役に立っているんだ!” という自信が、立ち直るための大きなチカラとなります。更生保護には地域社会の理解と協力が不可欠なのです。

立ち直りを支える人々

ここからは実際に更生保護活動を支えている人たちをご紹介しましょう。

保護司

保護司は、地域で更生保護の活動を担っているボランティアですが、正式な立場は保護司法に基づき、法務大臣から委託された非常勤の国家公務員という立場です。ボランティアなので給与などは一切支給されず、活動にかかる実費経費のみ、一定の基準で国から支給されています。

保護司個人としての活動は、保護観察官と共に保護観察に当たるほか、犯罪や非行をした人たちからの相談に乗ったり、社会復帰の際にスムーズに社会生活を営めるよう、釈放後の就業先や居住先の環境を調整するなど、立ち直りを導くためのさまざまな活動をしています。

それぞれの保護司が担当する保護観察対象者については、相談内容はもちろん、どのような方を担当しているかも含め守秘義務が課せられます。保護観察が終了するまでの期間、保護司は自分が担当する保護観察対象者が再び犯罪や非行に戻らぬよう、立ち直りのための地道な活動を続けます。

全国の市区町村には保護司会が組織されており、個人としての活動とあわせて犯罪予防のための啓発活動をはじめ、更生保護に関わるさまざまな活動を精力的に行っています。現在、全国には約5万人の保護司がおり、非行や罪を犯してしまった人の立ち直りのための地道な活動に取り組んでいます。

小松能美地区では、当サイトを運営している『 小松能美保護区保護司会 』が組織されています

小松能美保護区保護司会について

更生保護女性会

更生保護女性会は、地域における犯罪予防の活動や、犯罪を犯した人や非行のある子ども達の更生支援、子ども達の健全育成のための子育て支援活動など、女性の立場から更生保護の活動を行っているボランティアです。

更生保護施設での食事作りや花活けなど、家庭的な雰囲気作りに努めることで入寮者が一日も早く社会復帰できるよう工夫するなど、女性の持つあたたかさや細やかさを活かした活動を中心に、保護観察所や保護司、その他関連団体と連携しながら地域に根ざした更生保護の活動に取り組んでいます。

更生保護女性会は各市区町村に組織されており、全国各地で約18万人の会員が活動しています。会の趣旨に賛同し綱領に基づいて活動できる女性であればどなたでも参加できます。

小松能美地区では、『 小松地区更生保護女性会 』と『 能美地区更生保護女性会 』が組織されています

小松能美保護区の更生保護女性会について

BBS会

BBSは、「Big Brothers and Sisters Movement」の略で、その名の通り、様々な問題を抱える少年少女たちと、同世代の兄や姉のような身近な立場で接することで、彼らと一緒に悩み、学び、楽しむ活動をしている青年ボランティア団体です。その名は、今から約100年前にアメリカで始まった、Big Brothers MovementやBig Sisters Movementにちなんで名付けられました。

BBSの特長は、さまざまな悩み・問題を抱える若者たちの身近な存在として、“ 同じ目線 ”で寄り添うことで、同じ若者だからこその共感、心を開くきっかけ作りに貢献できることです。問題を抱える少年少女たちが自分自身で問題を解決し、健全に成長できるよう援助することで、活動に参加する青年自身もまた共に成長できるのがBBS会の特長です。

今では全国に約600のBBS会があり、約5700人の青年ボランティアが活動しています。

小松能美地区では、『 小松能美地区BBS会 』が組織されています

小松能美保護区のBBS会について

更生保護施設

更生保護施設とは、刑務所出所後にいろいろな理由ですぐに自立更生できない人や、頼るべき家族や親族がなく帰る場所がない人たちに宿泊場所を提供し、円滑な社会復帰を助け、自立に向けた生活指導を行っている民間の施設です。帰る場所を提供し、入所者それぞれの問題特性に応じた専門的な指導や援助を行っており、更生保護の中でも重要な役割を担っています。

施設での保護は、保護観察所からの委託または更生のための保護を必要としている本人からの申し出によって行われます。地域の保護司会・更生保護女性会・BBS会と連携しながら、地元町内会の行事やさまざまな奉仕活動への参加など、各更生保護施設ごとの取り組みによって、被保護者の自立と立ち直りを支援しています。

現在では、更生保護法人、NPO法人、社会福祉法人、社団法人などの民間の更生保護団体によって、全国で104の更生保護施設が運営されています。

石川県には、更生保護法人 徳風苑が運営する『 親和寮 』があります

小松能美地区の更生保護施設について

協力雇用主

協力雇用主とは、犯罪や非行の前歴があるために、定職に就くことが難しい刑務所出所者・保護観察対象者に対して、その事情を理解した上で雇用し“ 働く場 ”を提供することで、改善更生に協力してくださっている民間の事業主の方々です。現在、全国で約14,000の協力雇用主が協力してくださっています。再犯を防ぐためには定職に就くことがとても重要なため、協力雇用主制度は更生保護の中でも極めて重要な役割を果たしています。

犯罪や非行を犯した人たちを理解し、職場に受け入れることに対しては、多くの不安や課題があることと思います。ですが定職に就くことが再犯を防ぐ上では極めて重要な要素であるため、事業者の方々にはより一層のご理解とご協力の下、協力雇用主へのご登録を是非ともお願いいたします。

小松能美地区でも、現在複数の事業主様が協力雇用主としてご協力くださっています

小松能美地区における協力雇用主のご紹介

その他更生保護に関わる情報は “更生保護ネットワーク” へ※ 外部サイトへ移動します